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わたしが「言葉づかいの研修をお願いします」と言われてもすぐお引き受けしない理由

「言葉づかいができていない原因」が、「言葉づかいを知らないこと」だとは限らないから。

 

「うちの若手社員の言葉づかいが気になって。北村さん、研修してもらえますか?」「電話の応対品質が良くないので、言葉づかいの研修をしてもらえますか?」こんなふうにご相談いただくことがあります。

わたしは「かしこまりました!」とお引き受けして、すぐその会社に行って皆さんに言葉づかいをお教えする研修を…………しません(笑)

「言葉づかいができていない人」がいるとして、その原因はさまざま。正しい敬語を知ってはいるけれどどんな場面でどんなふうに使ったらいいかわからない、商品知識が不安でそちらに気をとられ言葉づかいにまで意識がまわらない、お客さまと話すとき緊張しすぎて言葉づかいがうまくできなくなってしまう、仕事に対するモチベーションが落ちていて言葉づかいをちゃんとする意欲が持てていない、などなど(わたしの経験上、純粋な「知識不足」というケースはほとんどありません)。

課題解決は、その課題の「真の原因」となっていることを見つけて、それを取り除くことがすべてです。原因に合わない研修を行っていても、いつまでたっても課題は解決しません。例えば「正しい言葉づかいは知っているけれど、お客さまと話すと緊張しすぎてうまくできない」という人に敬語のテキストをいくら読み込ませても、意味がないわけです。

だからわたしは、「言葉づかいの研修をお願いします」とご相談いただいたら、まず会社に伺ってお話をお聞きします。その時、教育担当の方とかだけでなく、必ず指導対象のご本人と会ってお話するようにしています。そうして初めて、言葉づかいができていない原因は何なのか、そもそも本当にできていないのか、どれくらいできていないのか、どういう研修が必要なのか、ということが見えてきます。それから研修プランを立て、ご提案し、納得していただいたらご契約して研修スタートです。

わたしはコミュニケーション分野が専門なので、マインド面の育成やフォローアップもできます(むしろそれが一番得意かも)。ライターでもあるので、話し言葉だけでなく書き言葉に関することもお教えできます。もしもわたしの分野で対応しきれないことがあれば、ちがう先生をご紹介することもできます。あくまでも原因に合わせて、やることを選んでいくのです。

コンサルや研修の入り口はいつでも、真の原因を見つけることから。ちょっと遠回りに見えて、これが課題解決へのいちばんの近道だと思うのです。