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人の心に長く留まる言葉

こんにちは。佐賀のコピーライター/nib.代表の北村朱里です。日曜は演劇の舞台を観に行っていました。ずいぶん前に仕事を通じて知って以来好きになった、佐賀の「劇団Ziシアター」さんです。

もちろん感染症対策は万全、そのうえで細やかな配慮と気遣いが行き届いていた公演。演目は「Teatime~青葉通りでひとやすみ~」という、商店街を舞台としたヒューマンストーリーです。

キャストの皆さんのキャラクターや演技、すばらしい舞台美術など見どころはいっぱいあるのですが、私が特にこの劇団で好きなのは、代表であり脚本を手がけられている辻恵子さんが紡ぐ言葉。奇抜なセリフが出てくるわけではなく、難解さもなく、きっと小学生くらいの子どもが聞いてもちゃんと理解できるようなやさしい言葉遣いで物語が構成されています。それでも登場人物それぞれの気持ちが乗った言葉がじーんと心に届いて留まるのは、その一つひとつがとても丁寧に紡がれているからだと思うんです。

なんとなく発した言葉ではなく、自分の言いたいことを口から出しただけでもなく「この思いが最も相手に伝わりやすい言葉は何だろう」「この言葉を聞いた相手はどんなふうに感じるだろうか」「わかりにくいところはないかな」「もっといい表現はないだろうか」そんなふうに考え尽くされてアウトプットされた言葉は、物事が伝わりやすいだけでなく、後々までじんわりと人の心に残っていくものになるのだなあと感じたのでした。

話は急に変わりますが、第58回(2020年)宣伝会議賞でグランプリを獲得された商工組合中央金庫のコピー「なかなか見どころのある悩みをお持ちですね。」が、私は大好きなんです。ズバッとした強い刺激こそないのに、一度聞いたらずっと心に残るフレーズ。時代の背景や経営の苦労、それでもなんとか前を向きたいという切実な気持ちをまるっと汲み取って、相談に来た経営者をあたたかく迎え入れる場所であることが表現されているなあ、いいなあ、いい言葉だなあと何度も思うのです。そう、いいコピーである前に、いい言葉だと感じることが大事なのかも。

私もコピーライターとして「伝わる言葉」を作るのは当たり前として、「人の心に長く留まる言葉」を生み出し育てていきたいという気持ちを新たにしました。

※冒頭の写真は、会場の佐賀県立美術館前で辻さん(左)・キャストの皆さん・北村(右)で撮っていただいたものです。すてきな思い出をありがとうございました!


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